「できた・できない」で判断しない。「思考力」は事物に触れて試行錯誤することで育てよう

近年、教育成果の「見える化」が強く求められるようになり、幼児教育の現場でも「早く解けるか」「正解できるか」が重視される傾向が強まっています。
その結果、本来は子ども自身に考えさせるべき場面で、
- 解き方を先に教えてしまう
- 考える過程は問わず、結果さえ合っていればよい
といった教え込み型の教育が、幼児期から行われているケースも少なくありません。
しかし、これは子どもの将来にとって非常に危険なことです。
学ぶことの楽しさや「自分で考えたい」という意欲を育てるべき幼児期に、結果だけを追い求める教育をしてしまうと、自分で考え、判断し、行動できる力は育ちません。幼児期には幼児期にふさわしい、まっとうな方法で教育する必要があるのです。
「こぐまのおけいこ」が大切にしている「事物教育」
そのまっとうな方法というのが、「こぐまのおけいこ」が大切にしている「事物教育」と「対話教育」の2つです。
ここでいう「事物教育」とは、「ペーパーか、実物か」といった教材の違いの話ではありません。
子どもが実際にパズルや積み木などの事物に触れ・試し・失敗しながら働きかける経験をどれだけ積めるかという視点です。
「こぐまのおけいこ」の指導の元になる「KUNOメソッド」は、子どもの認知発達を専門とした心理学者・ピアジェの認識発達理論をベースに構築してきました。『ピアジェの構成論と幼児教育Ⅰ―物と関わる遊びを通して―』(大学教育出版)の中には、「KUNOメソッド」の実践を理論的に裏づけてくれる重要な示唆が数多く示されています。
ピアジェの「論理数学的知識」とは
ピアジェは、知識をその成り立ちから次の3つに分類しました。
- 物理的知識(形・重さ・感触など、物そのものから得られる知識)
- 社会的(慣習的)知識(約束やルールなど、社会から与えられる知識)
- 論理数学的知識(比較・分類・関係づけなど、頭の中で構成される知識)
このうち、考える力の源になるのが「論理数学的知識」です。
これは外から教え込まれるのではなく、子ども自身が頭の中で関係づけを行うことで構成されます。
ピアジェは、「論理数学的知識」を次の5つの関係づけにわけています。
- 分類
- 順序づけ(系列化)
- 数量的関係
- 空間的関係
- 時間的関係
KUNOメソッドの「未測量(比べる・量る)・位置表象(空間と位置)・数・図形」という4領域は、まさにこの理論と深く結びついています。子どもたちは見たり聞いたりしたことを、自分の中に蓄えている「論理的数学的知識」を通して解釈しているのです。

「思考力」を育てるのための2段階
「こぐまのおけいこ」では、1時間の授業を、次の2つの学習スタイルにわけています。
- 手を使って学ぶ(個別学習)
- 頭を使って学ぶ(抽象化・ペーパー)
最初に手を使って事物で学び、その後は筆記で理解を定着させます。

特に重要なのが
1.手を使って行う個別学習の時間です。
学習と言っても、子どもたちにとってはパズルや積み木といった遊びのようなもので、どの子も集中して取り組みます。
この時間に、子どもは事物を使って試行錯誤して答えにたどり着くという経験をします。ここで育つ力こそが、その後の思考力の土台になるのです。
ところが、成果を早く「見える化」したいがために、この時間を省略し、いきなりペーパーに取り組ませ、解き方の「型」を教えてしまう教育も見られます。
一見効率的に見えても、これでは思考力は育ちません。
まとめ:AI時代こそ、幼児期の「事物教育」が重要
AIが多くの答えを出してくれる時代だからこそ、人間にしかできない「考える力」「創造する力」が求められます。それは、教え込まれる教育からは生まれません。物に触れ・迷い・考え・関係づける経験の積み重ねこそが、将来、新しい価値を生み出す力の源になります。
幼児期は、その力の土台を作るかけがえのない時期です。
だからこそ、今あらためて「事物教育」の意味を見直す必要があるのではないでしょうか。
「こぐまのおけいこ」では、事物教育と対話教育を通じて、学びの土台をしっかりと築き、子どもの思考力や表現力を伸ばします。KUNOメソッドに基づいた幼児教育についてご興味のある方は、ぜひ体験授業にお越しください。
▶︎参考元:こぐま会代表コラム 第769号2021.05.28 「生活経験や遊びは学びの宝庫」





